前略、セチガラ山より。

ブービンとか呼ばれている人の日々の世知辛いアレ

5月のイベントに登壇いただいた姫乃たまさんが本を出しました。何も頼まれちゃいませんが、地下アイドルなるものに興味があったので読んでみました。

結果、コレすんげぇ面白いでやんの。読了ホヤホヤ、そのまま感想垂れ流します。




アイドル本というのは、アイドルがなんだかほがらかな日常を綴ったり、オフショットという名のオンな写真を掲載したりするものと思っていました。これが「地下」アイドル本になると違うのか、それが姫乃さんの個性なのかは不明ですが『潜行』はおそらく、アイドル本としては異質です。

https://instagram.com/p/6FlDbBiwy4/

出版業界で絶滅危惧種と言われる肩書きに、ルポライターというものがあります。最近はノンフィション作家と名乗る場合が多いからですが、この『潜行』はなんだかルポライターの記事のようでした。

姫乃さんの経験や周辺地下アイドルたちの証言や行動の数々、読み進めていくと不安定な表現者たちの輪郭が少しずつはっきりしてきました。元気がよかった頃のQuick Japanのようなサブカル誌を読んでいる感覚に近いですね。知らない世界に触れて視界が広がっていくようです。

ところが次第に疑問も強くなっていきます。

これが、ルポライターによるルポタージュであれば何も疑わなかったかもしれません。疑問の正体は、彼女自身が取材対象と同じ、地下アイドルだったからです。

地下アイドルというものが少しずつわかってくるにつれ、姫乃さん自身が地下アイドルとしてどう感じているんだろう? そればかり気になりだしました。

https://instagram.com/p/5mch5NCw5h/

とくにアイドルになりたかったわけでもない人がひょんなことから地下アイドルになり、人に恵まれながらそれを続けているのが今。

姫乃さんは自身をそんな具合に説明します。

同時に彼女は自覚的に、地下アイドルであることを売り物にして仕事の幅を広げています。とはいえ、仕事のために地下アイドルを名乗り続けているような感じではなく、後付けのキャラクターにありがちなあざとさは感じません。

https://instagram.com/p/6QGw0rCwxt/

姫乃さんは、オタク気質の人に頻繁に見かける、徹底的に時間を使うタイプの方のようです。時間を埋めなくては不安にかられ、ある時期は心のトラブルを抱えていたと語っています。しかし『潜行』では、夢中になって奔走する彼女がどうしてそこまでするのか、その説明が弱いんです。

おそらくそれは、この本が彼女を応援してくれるファンに贈るためのもので、その面で『潜行』は彼女の頑張りについてもはや説明不要なアイドル本だから、なのかもしれません。

そのこと自体が彼女の活動の得体の知れなさのようなものに透けていて、とても面白いです。興味本位で手にした外様の僕からすればそれは、得体の知れなさに映りますが、彼女を応援する人たちからすればそれは説明不要の常識になるのかもしれませんね。ゼロ年代に台頭してきたビザールでロリータなサブカルの王道的場所から彼女がどこに進むのか、なんだか楽しみです。



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